今回は意外と多い「足の症例」について取り上げたいと思います。
足首や足の甲など、結構痛める人は多いものの、それ自体が治療メニューに載っていることは多くなく、治療院選び等対処に困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。常日頃から使う箇所ですので、当然一度痛めると日常生活への影響が大きく大変かと思います。
今回は「足首」と「足の甲」の症例、それぞれについてお話しします。
足首をひねったおじいちゃん
状況・症状
コロナ禍ということもあり屋内に籠るのも良くないと、運動不足解消しようとうさぎ跳びをしたら、足首を捻ってしまったそうです。どうにも痛く、近くの整形外科で見せても治らなかったということで、当院にお越しくださりました。
戴いたレントゲンを見てみると、小指の剥離骨折と小指の亜脱臼が痛みの直接的な原因でした。『捻ったのは足首なのに、痛みの原因は小指？！』と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、痛みの原因はそう単純ではなく、実際に骨の状態や触診をしてみないとなかなか分からないものなのです。
治療
剥離骨折した部分は自然治癒で徐々に良くなるしかなく、温熱治療等で自然治癒力を高める処置をします。一方、亜脱臼に関しては、軽く骨がズレている程度でしたので（軽くずれているだけでも相当痛いのですが。患者様は足を地面につけれない位の状態でした。）ズレた骨の位置を元に戻すように手技治療を施しました。すると、痛みもだいぶ和らいだようで、痛みはするけど歩けるくらいにはなりました。脱臼は基本的に「位置を戻す」＋「3週間の固定」で治す、が通例ですので、こちらの患者様も同じように3週間固定して安静にすればよくなっていくと思います。
足痛の原因が？？？の看護師さん
状況・症状
足がとにかく痛いと来院された看護師さんがいらっしゃいました。整形外科で撮ってもらったレントゲンを見る限り、異常がみられる個所は見当たらず原因が分からずに困っていたようです。また、輪をかけて問題だったのは痛めた原因に心当たりが無かったことです。特にスポーツで痛めたわけでもなく、お仕事も確かに立ち仕事ではありますがその中で痛めた覚えもなく、痛めた原因となる動作がなかなかわかりませんでした。
「痛みの原因を治療したらそれでいいじゃん」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「痛みの原因（患部）」と同じくらい「痛めた原因（動作）」も重要なのです。なぜなら、日常何気なく行っている動作が原因であれば、また同じ症状を繰り返す可能性があるからです。加えて、治療中に悪化させる原因にもなります。従って、治療に際しては「痛みの原因（患部）」だけでなく「痛めた原因（動作）」もしっかり把握して治療することが重要です。
治療
「痛みの原因（患部）」はどうやら足の甲の通常はほとんどズレることが無い骨の位置がずれていることが原因だったようです。ですので、足の甲の骨の位置を元に戻すことで（これがなかなか動いてくれないのですが、）痛みの原因を解消し、痛み自体も軽く和らいだようでした。
しかしながら、「痛めた原因（動作）」がなかなかわかりません。趣味や仕事での動作、最近始めた運動、家事などを聞いてもなかなかピンとくるものがありませんでした。ですが、最後の最後で、正座時の座り方に特徴があり、それによって足に負荷が掛かって骨がズレてしまった可能性があることがわかりました。これによって「痛みの原因（患部）」と「痛めた原因（動作）」がどちらも特定でき、無事治療することが出来ました。骨の位置を元の正しい位置に戻し、テーピングで固定して、痛めた原因となる動作を避けるように伝え、今ではほとんど日常生活で痛みも出なくなったようです。
「痛みの原因（患部）」と「痛めた原因（動作）」の重要性
このように、「痛みの原因（患部）」と「痛めた原因（動作）」をそれぞれ切り分けてしっかり把握することが治療においては重要です。「痛めた原因（動作）」から「痛みの原因（患部）」が連想しにくいこともありますし、「痛みの原因（患部）」が分かっても「痛めた原因（動作）」が分からないため痛みをぶり返してしまうこともあります。なかなかこの二つがそろわず治らないこともあるかもしれませんが、たいてい治りにくい場合は日常生活に支障をきたす重要な部位を痛めていることが多くありますので、粘り強く原因を特定してしっかり治してくれる治療院を探して通院されることをおすすめします。
いかがでしたでしょうか。今後もこのように、実際の患者様のお話を取り上げつつ、皆様のためになる情報をお伝えしていきますので、引き続きご覧ください。最後までお読みいただきありがとうございました。
ふじと接骨院院長
藤戸慎一郎
