膝の痛みの原因 前編

今回は『膝の痛みの原因』について解説していきます。
以前に半月板についての解説はいたしましたが、今回は膝関節痛全般を扱っていこうと思います。

膝痛は60歳以上の男女でおよそ6割もの人が抱えている症状で、中高生も発育途中の過度な部活動の練習などでよく発症する、いわば現代生活で切っても切り離せない症状だと言えます。しかしながら、その診断・適切な治療は意外に複雑で、正しく対処しないと、慢性的な痛みに悩まされることもしばしばあるかなり厄介な症状なのです。今回はその中でも、日常的に発症しやすい症状をいくつか取り上げて、それぞれについて解説していきます。もし、皆さんの中で膝痛に悩まされている方々がいらっしゃいましたら、その治療の一助となれば幸いです。

膝痛の症状の種類

膝痛は非常に多くの種類がありますので、以下には主だった症状を記載いたします。
1.変形性膝関節症
2.半月板損傷
3.膝靭帯損傷
4.膝離断性骨軟骨炎
5.オスグッド病
6.膝蓋骨脱臼

今回の投稿では、このうち1~3を解説し、4~6については来週の投稿で解説しようと思います。

変形性膝関節症

ご年配の方に多く見られる膝関節の代表的な症状です。膝が痛むだけでなく水がたまり、階段の昇降や正座などが困難になっていきます。症状の末期になると、膝を伸ばすことが出来なくなり、歩行自体が困難になってしまいます。

変形性膝関節症の痛みの原因

多くの場合は膝関節軟骨が老化により弾力性を失い、すり減り、関節自体が変形してしまうことによって起こります。ですが、それ以外にも、肥満など体重の増加で関節部分に負荷が掛かり起こる場合や靭帯損傷・半月板損傷・膝の骨折など、膝の怪我の後遺症として発症することもあります。

膝を怪我して治ったはずなんだけどどうにも痛むことがある、といったことをお感じの皆様は、一度整形外科へ行って、改めて診察してもらった方が良いかもしれません。要するに、半月板損傷は治っていても、後遺症で変形性膝関節症を発症しているということは、膝の怪我は完治していないということです。若い中高生であっても、引きずる可能性は大いにある症状です。大切な部活動生活を守るためにも、一度診察して見てください。

変形性膝関節症の治療・予防方法

軽度の症状であれば、ヒアルロン酸注射や装具を付けた保護治療を行いますが、症状がひどいと手術でしか治せなくなります。この変形性膝関節症は徐々に悪化していく傾向にありますので、早期発見早期治療に注意してください。

予防法としては、太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えるという方法が効果的です。飛び跳ねたり、走ったりと、膝を曲げ伸ばしするときにその衝撃に筋肉がついていけず、関節部分に衝撃が積み重なっていくことによって発症・悪化するためです。しかし、このトレーニングには1つ重大な注意点があります。それは、『痛みがある状態では決してやらないこと』です。当院の患者様でもトレーニングを別のお医者様から勧められて痛みをガマンしてトレーニングしている方々が多く見受けられます。しかし、痛い状態でトレーニングをするとかえって症状を悪化させることに繋がるため、感覚値ですが、6~7割程度、歩行であれば痛みが出ない位に症状が治まっている状態になってからトレーニングを行うようにしてください。

半月板損傷

半月板は膝の内側と外側にあり、太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)を繋ぎ、クッションの役割を果たしている軟骨の一種です。これを損傷すると、膝を曲げ伸ばしする際に引っ掛かりを感じるようになり、ひどくなると膝に水がたまったり、膝が動かなくなる「ロッキング」という状態になります。

半月板損傷の原因

半月板は膝の心臓部とも呼べるくらいに重要な箇所で、それゆえに捻って損傷したり、飛び跳ねたときの衝撃で損傷したりと原因は様々です。ただ、多くの場合半月板自体が痛むということではなく、半月板が損傷・摩耗することによって、膝関節の噛み合わせがズレ、大腿骨と脛骨の関節部分がぶつかって痛みを生じていることがあります。

半月板損傷の治療・予防方法

特に厄介なのが、オスグッド症や膝の靭帯損傷と合わせて起こっている場合です。例えば、部活動でオスグッドや靭帯を痛めたお子様は、一旦安静にして痛みが引くまで運動を控え、その後痛みが引くと運動を再開します。しかし、痛みが引いたはず、安静にしていたはずにもかかわらず、時折膝が痛むケースが少なくありません。これは、半月板が損傷し、膝関節に十分な隙間が無いなかで、運動することで大腿骨と脛骨がぶつかってしてしまっているために起こる痛みです。従って当院では、オスグッドや膝の捻挫の疑いで来院された方にはほぼ必ず半月板損傷及び関節のズレの疑いを持って診察します。そして、関節がズレている場合は、症状の経過を見て、手技治療により膝関節の噛み合わせを正しい位置に戻してあげるようにします。予防法ですが、残念ながら腰などの様に筋肉を鍛えて関節を守るような取り組みが膝は出来ません。なぜなら膝周辺には筋肉が無いからです。従って一番の対策は、痛めたら様々な症状が合わさっていることを危惧し、あらゆる観点からしっかり治療してあげることです。多少の痛みは、、、といって放置すると、変形性膝関節症を発症し、ますます完治が困難になってしまうこともあります

膝靭帯損傷

サッカー選手やバスケットボール選手で見られるいわゆる「前十字靭帯断裂」や「後十字靭帯断裂」、「側副靱帯断裂」などで有名な症状です。断裂まではいかずとも、足の着き方を間違え膝を変な方向に捻ってしまったりすることで日常生活でも起こる症状です。発症して3週間ほどは患部が内出血し腫れるのですが、その後は腫れも引き、可動もスムーズになります。しかし、治療せずに放置していると時折膝の角度によっては痛みを発症し、いわゆる慢性化してしまうこともあります。また、この症状の厄介なところは、靭帯損傷中は膝への負担が大きくなりがちであるため、半月板損傷など他の膝関節痛の症状を引き起こしてしまうことにもつながる点にあります

膝靭帯損傷の原因

基本的には、膝に強い衝撃が加わったときに発症します。特に、膝を外に捻ったりすると起こります。「膝を外に捻ることなんてスポーツしてないとめったにない」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、例えば、「歩行時の方向転換」「何かを踏むのをよけようとした瞬間」「重いものを持ち上げようと屈伸運動した瞬間」など、膝に横向きの力が働くことは日常的にも意外と多いのです。

膝靭帯損傷の治療・予防法

断裂程の症状でなければ、基本的には膝に装具を付け保存的治療を行います。しかし、靭帯を損傷するほどの膝の怪我の場合は、靭帯損傷と同時に半月板損傷や膝関節のズレなど、複合的に膝にけがを負っている場合があります。従って、ただ膝を固定して安静にしてればいい、ではなく整骨院・接骨院で触診等をしてもらい、他にけがを抱えていないか十分にチェックしてもらって正しく治療に努めましょう

いかがでしたでしょうか、膝痛の最大の難題は、複数の症状を同時に発症している場合が多いことです。従って、一つの症状だけに目を向けて治療するのではなく、その他の怪我も発症していないか十分に注意し、多角的に治療を受けることをおすすめします。次回は膝痛の症状の4~6番について解説していきます。

次回も宜しくお願い致します。

ふじと接骨院院長
藤戸慎一郎

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