今回は足についての解説をしていきたいと思います。
これまでも、中々治らず長引く痛みについていくつか症例を紹介してきましたが、今回紹介する症例も痛めるとなかなか厄介な箇所です。
リスフラン関節とショパール関節
意外かもしれませんが、足は片足で26個もの骨が組み合わさってできています。
この複雑な仕組みが、走ったり・踏ん張ったり・曲がったり・飛んだりと言った動きを可能にしており、数十キロもの体重を2本の足で支えられることに繋がっています。
そして、この足の仕組の中で特に重要な役割を果たしているのが、リスフラン関節とショパール関節です。
リスフラン関節とは
26個の足の骨の中で8つの骨を繋ぐ関節部分で、足の平を構成する骨と親指のつなぎ目に位置する関節です。
リスフラン関節は主に4つの機能を果たしています。
1．底屈：足の先を伸ばしたときに足の裏がアーチを描くように曲がりますが、この動作を底屈と言います。
2．背屈：つま先だけを上に上げるときに、親指が上に曲がりますが、この動作を背屈と言います。
3．内返し：足全体が内側にねじれる動きを内返しと言います。
4．外返し：足全体が外側にねじれる動きを外返しと言います。
要するに、足を上下左右に動かすそのすべての動作に対してこのリスフラン関節が関与しています。
ショパール関節とは
4本の骨から構成される関節部分で、リスフラン関節と足首の間くらいに位置しています。
この関節も、リスフラン関節と同様に、底屈・背屈・内返し・外返しの4つの機能を果たしています。
また、このショパール関節が足底部のアーチ（土踏まず）を保持するうえで重要な役割を果たしています。
痛めるとなかなか厄介
前述したように、このリスフラン関節とショパール関節は痛めるとかなり厄介です。
それは、足の動きすべてに関与していたり、多くの骨を繋ぐ重要な関節であることにも起因しますが、一番大きな問題はこの二つの関節は本来ズレない位にぴっちりはまった作りになっているということです。
それゆえに、一度ズレるとなかなか戻らないので、痛みが長引きやすいのです。
他にも厄介な点がありますので、以下に詳細に記していきます。
診断について
この二つの関節を痛めても、それが原因として認識されないことが多くあります。
通常捻挫などで足を痛めた場合、お医者さんの注目が足首に集まるためです。
また、足首を動かして痛みの原因を特定することもありますが、前述したようにこの二つの関節は足の動きすべてに関与しているため、この二つの関節がズレていたり、捻挫していたりする場合、足首を動かすと、それに応じてこの二つの関節も痛みを発症します。
また、レントゲンでもズレていることがなかなか分からない関節です。
故に、診断の際に足首の捻挫と間違われやすく、適切な対処がなされないことがあります。
治療について
正しく診断されてもなかなか対処が難しいというのもリスフラン関節とショパール関節の厄介なところです。
なぜなら、前述したとおり、非常に動かしづらい関節だからです。
この部分を捻挫すると多くの場合、関節の位置が正しい部分からズレます。しかし、元々ずれにくい構造であるがゆえに、中々戻りにくくもあるのです。
従って、整形外科でこの二つの関節の捻挫、と診断されてもできる処置が湿布と痛み止めくらいである場合が多くあります。
ですので、この二つの関節の捻挫の疑いがあった場合は、接骨院や整骨院で手技治療を行ってもらいましょう。
身体の骨・関節の仕組と手技治療に精通している接骨院や整骨院の先生であれば、対処できる可能性があります。
しかし、元に戻りづらい部分であることに変わりはないので、手技治療の際はかなりの痛みを生じることを認識しておいてください。
故に当院では、1回の施術で治しきるのではなく、患者様の状態に合わせて少しずつ治療していくこともあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の解説で重要なポイントは以下の3つです。
❶足を捻ったらリスフラン関節とショパール関節の捻挫も疑いましょう
❷なかなかひかない足の痛みは整骨院・接骨院で診てもらいます
❸短期治療ではなく、中期的に治療にあたりしっかり関節のズレから治してもらいましょう
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新は2022/2/21です。
内容は『橈骨頭亜脱臼について』を予定しております。
引き続きどうぞ宜しくお願い致します。
ふじと接骨院
院長 藤戸慎一郎
